知識のひろば・生活習慣病に関する最新情報

理事長がピックアップしたトピックスをご紹介しています。

京のひろばのイベントでは、このような最新情報も交えながら、健康に役立つ情報を分かりやすくお伝えしています。


7月の話題

LDLコレステロール値と脳出血の関係

Neurology July 02, 2019

6月にご紹介したNeurologyの報告の続編といえる内容です。

今回は、LDLと脳出血の関係が調べられました。96043人、平均年齢51.3歳のコホートで、LDL値は、2006年、2008年、2010年、2012年の4回測定され、9年間フォローされています。

LDL値が70-99mg/dLの群は、LDL 100mg/dL以上と比べ、脳出血のリスクは同等でした。一方、LDL値が70mg/dL未満の群では、70-99mg/dL群に比べ脳出血のリスクが高く、ハザード比は、50-69mg/dL群で1.65、50mg/dL未満群で2.69と高値になりました。動脈硬化性疾患の発症を予防し、同時に脳出血をきたさないためのLDL管理目標値を定めることが重要になるかも知れません。



6月の話題

女性における脂質レベルと出血性脳卒中リスクとの関係

Neurology 2019;92(19)

今回の19.3年に亘る前向きコホート研究では、Women's Health研究に組み入れられた女性2万7937人を対象に、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪と脳梗塞との関係が調査されました。

LDLが100-129.9mg/dLに比べてLDL70mg/dL未満では、出血性脳卒中は

相対リスク2.17倍と高く、一方、LDL130-159.9mg/dLと70-99.9mg/dLでは、 リスクの上昇は認められませんでした。160mg/dL以上では、有意ではなかったもののリスクが上昇する可能性が示唆されました。

さらに、中性脂肪も空腹時74mg/dL以下または非空腹時85mg/dL以下では、最も高い四分位群と比較し出血性脳卒中は2.0倍高くなることも示されました。

HDLや総コレステロールと出血性脳卒中のリスクとは相関が認められませんでした。

この結果は、現在のようにスタチンが広く使われる前に採血が行われており、元々低値であった女性のリスクを示したものと言えます。したがって、LDLや中性脂肪が高値で、薬剤によって低下させた場合、同様の結果が得られるかはわかりません。一方で、LDL値をどこまで下げるべきか専門家の意見も分かれています。

2型糖尿病における血清コレステロールレベルと末梢神経障害との関係

JAMA Netw Open 2019;2(5):e194798

2型糖尿病の合併症の中で末梢神経障害は最も重要な合併症の一つです。たちが行った高齢者糖尿病の研究でも、末梢神経障害はとくに男性でフレイルのリスク因子でした。

今回の報告では、血清コレステロール低値と末梢神経障害との関係をMRI画像を用いて解析しています。単施設横断的前向きコホート研究が実施され、256人のエントリー患者のうち、適格基準を満たした100人が解析されました。

糖尿病性神経障害は、総コレステロール値とLDL値と負の相関を示しました。一方、HDL値との相関は示されませんでした。

今回の研究では、末梢神経障害を進展させるLDL値の閾値を示すことができませんでした。しかし、糖尿病のある方にとっては、低値過ぎるコレステロール値は見直す必要があるのかもしれません。

 



5月の話題

アミロイドβ阻害薬は認知症進行を抑制しない

N Engl J Med 2019; 380:1408-1420

アルツハイマー病の成因として、アミロイドβとそれに関連する分子が引き起こすアミロイド仮説が有名です。今回の報告では、アルツハイマー病の前駆症状はあるが認知症とは診断されない軽度認知機能障害を有する55歳~85歳の方を対象に、アミロイドβの産生を抑制しアミロイド斑の沈着を抑止するアミロイド前駆体タンパク切断酵素BACE-1阻害薬が、認知症進展を抑制するか検討されました。

結果は、臨床的はアルツハイマー病への進展を抑制することはできませんでした。PET検査による脳内アミロイドβ量は、アミロイドβ阻害薬群ではプラセボ群に比べ減少していたものの、MR画像では海馬の萎縮の進展度合いにプラセボ群と実薬群では差がありませんでした。

 

今回の結果は一つの治験に過ぎませんが、私たちは、認知機能が低下し始める早期から、食事や運動に注意しなければならないかもしれません。

「京のひろば」では、認知症を予防するための食事や運動を提案しています。是非ご覧頂ければと思います。

アトラセンタンは2型糖尿病腎臓病の進行を減速する

The Lancet 2019;393:1937-1947

2型糖尿病の合併症として、腎症は大きな問題です。人工透析の原因疾患の第1位であり、行政も腎症の進展予防に力を入れています。 最近では、古典的な糖尿病腎症の経過を辿らない腎症も多くなっていることから、糖尿病性腎臓病という名前が多く使われるようになり、SGLT2阻害薬がその進展予防に有用なことが多くの研究で報告されています。

今回の治験では、選択的エンドセリンA受容体拮抗薬であるアトラセンタンが、顕性アルブミン尿を有する2型糖尿病者の腎機能を保護し、腎不全への進展抑制することが報告されました。対象は、年齢18~85歳、尿中アルブミン・クレアチニン比(UACR) が300~500mg/gなどで、ACEIかARBを4週以上併用していることが条件でした。

ただし、効果のあった参加者は、UACRが51.8%減少、収縮期血圧も6.1mmHg低下していましたが、 効果のなかった参加者も27.8%いました。また、心不全の抑制効果は認められませんでした。

はっきりわかりませんが、効果のある対象者を選択できれば、新たな治療戦略として選択的エンドセリンA受容体拮抗薬が効果を発揮しそうです。

 



4月の話題

抗TPO抗体陽性者への受胎前レボチロキシン投与

NEJM 2019;380:1316-1325

TPO抗体陽性の妊婦では、甲状腺機能が正常であっても流産や早産のリスクになることが報告されています。レボチロキシンの投与は、それらの発生率を低下されることが期待されています。今回のTABLET試験では、イギリスの49病院、19585人の女性の中から、それぞれ476人のレボチロキシン群とプラセボ群を対象に、受胎前から妊娠末期までのレボチロキシンの投与の有効性を検討しました。主要評価項目は妊娠34週後の生児出生でした。

妊娠率は、レボチロキシン群56.6%m、プラセボ群58.3%で、妊娠34週以降の生児出生率は、レボチロキシン群37.4%、プラセボ群37.9%で、差は認められませんでした。あた、流産や早産の妊娠転帰にも有意差は認められませんでした。

今回の結果からは、甲状腺機能が正常のTPO抗体陽性の女性に対してレボチロキシンの投与は、必ずしも妊娠率の上昇や流産や早産のリスク低下には繋がらないことが示されました。

食事性コレステロールまたは卵の摂取と心血管疾患・死亡率の関連

JAMA. 2019;321:1081-1095

コレステロールは、飽和脂肪酸や動物性タンパクなどと混在して食物に含まれるため、食事からのコレステロールの摂取は、心血管疾患やその死亡と直接関連するかは必ずしも一定しか見解は得られていません。食事からのコレステロールのソースは、卵や赤身肉、鶏肉、魚介類、乳製品が主ですが、とくに卵の黄身は、食事性コレステロールが多く、50gの大サイズの卵は186mgのコレステロールを含むとされています。

ARIC、CARDIA、FHS、FOS、JHS、ESAの6つの前向きコホート研究から29615人が解析されました。追跡期間の中央値は17.5年で、CVDイベントが5400件、全死亡が6132件発生しました。食事性コレステロールまたは卵の摂取の増加に伴い、CVDイベントと全死亡は単調な増加が認められ、300mgの増加毎に、CVDイベントのハザード比が1.17、全死亡が1.18増加しました。卵の摂取も個数の増加に伴い単調にリスク増加が認められ、1日あたり1/2個増加する毎に、CVDイベントと全死亡のハザード比はぞれぞれ1.06、1.08増加しました。ただし、卵の摂取は、食事性コレステロールの消費量で調整するとそのリスクは消失しました。

本研究では、食事性コレステロールまたは卵の摂取は用量依存性にCVDイベントと全死亡を増加させることが明らかとなりました。



3月の話題

フレイル・サルコペニアの進展因子には男女差がある

Ther Adv Endocrinol Metab. 2019 Mar 5;10: 2042018819833304. doi: 10.1177/ 2042018819833304. eCollection 2019.

日本は超高齢社会を迎え、フレイルやサルコペニアの問題がクローズアップされています。とくに糖尿病では一般高齢者よりも早期からフレイルやサルコペニアになりやすいと報告されています。しかし、日本糖尿病患者さんにおいて、その進展因子は明らかではありませんでした。フレイルやサルコペニアの進展リスクには、共通の因子と男女別の因子がありました。

共通のリスクとしては末梢神経障害が挙げられました。男性に特異的な因子としては、冠動脈疾患の既往、年齢、無職、独居が挙げられました。一方女性では、家族との同居、食事制限、不規則な生活が挙げられました。さらに、フレイルやサルコペニアを予防するには、男性では、適切な食事が、女性では骨格筋量の多さ、独り暮らし、LDLコレステロール高値が挙げられました。

もともと男女では体格が異なり、日本では社会的な役割も異なることがあり、男女別にリスクを評価し、介入する必要性があるようです。

中年期の食事内容は認知症発症のリスクにならない

JAMA. 2019;321:957-968.

JAMA Neurology 2017では、認知症発症のリスクとして、中年期の喫煙や糖尿病、高血圧がリスクになることが報告されています。また、Lancet 2017では、中年期の聴力低下が大きなリスクであることも発表されています。認知症を予防するには、食事や運動が重要であることが報告されています。とくにMIND食は認知症発症を予防できる (Dementia 2015) ことが報告されています。

今回の発表では、中年期の食事内容は認知症発症とは明らかな関係がないというショッキングなものでした。認知症のない男女8225名を中央値で24.8年もフォローした長期前向きコホート研究で、食事の質の評価は11の要素からなる食事の質スコアAHEIを用いています。公務員を対象としており信頼性は高いとされています。多変量解析の結果では、AHEIスコアと認知症発症リスクとの間には有意差が認められませんでした。ただし、著者も、食事が重要ではないといっているわけではないと述べています。

昔から医食同源といいます。健康的な食事をして悪かったということは一度もないのですから、バランス良く食事をすることに越したことはありません。



2月の話題

妊娠合併症は長期の心血管疾患罹患率と死亡のリスクである

Circulation 2019;139:1069-1079

妊娠中の子癇や高血圧、糖代謝異常は、産後の母親の心血管疾患リスク上昇につながることが知られている。本研究では、84の研究から28,993,438人をも対象に、妊娠合併症と長期の心血管疾患リスクとの関について系統レビュー・メタ解析を行った。観察期間の中央値は産後7.5年であった。その結果、心血管疾患のリスクのオッズ比は、妊娠高血圧症候群1.7、子癇前症OR:2.7、常位胎盤早期剥離1.8、早産1.6、妊娠糖尿病1.7、死産1.5であった。低出生体重児や在胎期間相当の体格よりかなり小さく生まれた新生児の出産でも心血管疾患リスクは上昇したが、流産では増加しなかった。

このことから、妊娠中に何かしらの合併症を有した母体においては、産後の長期のフォローアップが必要であり、産後教育が重要になると考えられます。

1型糖尿病と学力~差はなし~

JAMA Network 2019;321:484-492

1型糖尿病のお子さんを持つ親は、お子さんの学力が気になるかもしれません。デンマークから、1型糖尿病の学童と同世代の糖尿病でない学童との間で、標準的学力(読解と算数)は変わらないと報告がありました。

631,620人の公立学校に通う平均年齢10.3歳の小学生を対象に、算数は524,764人、読解1,037,006人がテストを受けました。1型糖尿病の小学生は2,031人含まれていました。1型糖尿病を持つ小学生のスコアの平均点は56,56だったのに対し、糖尿病を持たない小学生のスコアの平均点は56.11点で、全く差がありませんでした。

糖尿病を抱えての生活は大変ですが、国も社会も医療費を含め適切にサポートできれば、1型糖尿病を持つお子さんは同世代のお子さんと変わらず成長できることを示してくれました。



1月の話題

オメガ3系脂肪酸は心血管イベントと癌の発症を抑制しない

N Engl J Med 2019;380:23-32

オメガ3系脂肪酸(オメガ3)は多価不飽和脂肪酸の一種で、脂肪の多い魚や貝類・甲殻類などの食品に含まれています。EPAやDHAなどサプリメントとしても人気な栄養素です。最近では、亜麻仁油も人気です。

心血管イベントの抑制や炎症抑制、脂質代謝改善などの効果が期待されています。

しかし、1月3日に発表されたアメリカでの研究では、必ずしもよい結果が得られていません。25871人を対象とした無作為化プラセボ対照試験で、ビタミンD3を2000単位/日摂取する群とオメガ3を1g/日摂取する群を二要因デザインを用いて解析しました。観察期間の中央値は5.3年で、心血管イベントは心筋梗塞の発症、脳梗塞の発症、それらによる死亡とし、癌は、いずれの進行癌としています。

                      2019年1月11日(金)

ビタミンD3は癌と心血管イベントの発症を抑制しない

N Engl J Med 2019;380:33-44

オメガ3と同じ研究の解析です。

ビタミンD3は骨の形成を助ける栄養素です。その他にも、不足することによって癌の発症や自己免疫疾患などの発症に関与するとされています。とくに日本人は摂取量が少ないとされています。日本人は主に、魚介類から多く摂取しています。また、日光により活性化されるので、日光照射を受ける機会が少ない人は、より多く摂取することが必要とされています。

今回の研究では、とくに癌による死亡、乳がん、前立腺がんなどの発症には有意差が認められませんでした。

 

今後さらなる解析結果が発表されると思いますが、サプリメントの取り方もそれまでは慎重であってもいいかもしれません。

                      2019年1月11日(金)



2型糖尿病はがん死亡リスクを上昇させる

少し前になるが、アジア人2型糖尿病におけるがん死亡リスクを検討した大規模調査研究の結果が明らかとなった。

アジアコホートコンソーシアムとよばれる国際共同研究チームは、精度の高い調査を実施している日本、中国、台湾、シンガポール、韓国、インド、バングラデシュの7カ国のコホート、東アジ658.611人、南アジア112,686人、合計771,000人のデータを総合分析した。平均追跡期間は12.7年で、がんによる死亡は37,343人だった。

2型糖尿病があることで、がんによる死亡は26%増加することが明らかとなった。また、このリスクの上昇は、性別、年齢、体格指数、喫煙、アルコール消費量、教育レベル、都市居住を調整しても、21%~39%の上昇が認められ、リスク上昇は変わらなかった。

個別のがんでみた場合、大腸がんは41%、肝臓がんは105%、胆管がんは41%、胆嚢がんは33%、膵臓がんは53%、乳がんは72%、子宮内膜がんは173%、卵巣がんは60%、前立腺癌は41%、腎臓がんは84%、甲状腺がんは99%、リンパ腫は39%の死亡リスクの上昇が認められた。とくに、60歳未満でも、がんによる死亡リスクは39%上昇しており、60歳以上に比し、肝臓がん、膀胱がん、膵臓がんの死亡リスクの上昇が有意に高かった。一方、白血病、膀胱がん、子宮頚がん、食道がん、胃がん、肺がんの死亡リスクの上昇は認められなかった。

 

日本人の死亡原因は悪性新生物が最も多く、平成27年の人口動態統計によると、男性では32.9%、女性では24.2%とされている。少なくとも4人に1人は悪性新生物で亡くなっている。がん検診を定期的に受け、早期に発見し適切に治療を受けることが、2型糖尿病にとっても重要である。いずれにせよ、生活習慣を見直し、健康的な食事、適度な運動を心がけ、健やかに生きていくことが何よりも大切であろう。

 

                                                                                     Diabetologia 2017; 60: 1022-1032より                                               2017年8月7日(月)


1日おきのエネルギー制限の優越性なし

JAMA Inter Med 7月号に、1日おきにエネルギー制限した場合と、日々エネルギー制限をした場合とで、減量効果に差がなかったこと、また、血圧や空腹時血糖値、インスリン抵抗性、HDL-コレステロール値、中性脂肪値には差がなかったが、1日おきにエネルギー制限をした場合は、LDL-コレステロール値が上昇していたことが報告された。

エネルギー制限は25%制限を目標とし、半年間の減量期間と、その後の半年間の体重維持期間を設定した。減量期間では、1日おきのエネルギー制限群34例では、制限日は1日に摂取していたエネルギー量の25%を摂取し、非制限日は125%のエネルギー量の摂取を目標とした。日々摂取エネルギー量を制限した群35例では、ベースラインの75%のエネルギー制限を目標とした。食事内容は、原則30%のエネルギーは脂肪から、55%は炭水化物から、15%はたんぱく質から摂取した。体重維持期間は、1日おきのエネルギー制限群は、必要エネルギー量の50%のエネルギー制限日と150%の非制限日を繰り返し、日々エネルギー制限群では、必要エネルギー量の100%摂取を維持した。

平均年齢は44歳、平均BMIは34程度であり、糖尿病や心血管イベントのある人は除外されている。

結果は、1日おきのエネルギー制限群では、制限日のエネルギー摂取量は目標よりやや多く、非制限日は逆にやや少なかった。一方、日々制限群では、ほぼ目標通りにエネルギー量の制限を達成できた。体重は、12ヵ月後には、1日おきエネルギー制限群では6.0%の減少、日々制限群では、5.3%の減少が達成された。しかし、脱落率は、日々制限群の29%に対し、1日おきにエネルギー制限群では38%とやや高かった。

また、他の代謝マーカーである血圧、心拍数、中性脂肪値、HDL-コレステロール値、空腹時血糖値、空腹時インスリン値、インスリン抵抗性、CRP値、ホモシスチン値にはそれぞれの群で差が認められなかった。一方、LDL-コレステロールは、1日おきにエネルギー制限群で上昇していた。

 

当初、1日おきのエネルギー制限は減量や心血管リスク因子の改善に有効と考えられていたが、本論文では、毎日少しずつエネルギー制限する場合に比べ、長期に1日おきに大きくエネルギー制限することは難しかったのだろうと述べられている。また、通常よりも500kcal以上エネルギー摂取量を制限することは、一般的に多くの人にとって実施しにくいのだろうと述べられている。

 

減量したい夏。

やはり、無理なダイエットは禁物なのだろう。減量目標を決め、将来の自分の体型をイメージし、その目標に向かって日々200~300kcal、500kcalは超えない程度で食事量をバランスよく減らしたり、あるいは、運動量を増やすなどして減量したらいい。例えば、5kg痩せたい、脂肪を落としたいと考えたとき、脂肪1gの燃焼に7kcalが必要なので、1日210kcalの減量を設定すると1日30gの脂肪減少、1ヵ月で900gとなる。5kgであれば少なくとも半年間を目標に努力を継続することが、長期で考えた場合にはいいだろう。

 

                   JAMA Intern Med 2017; 177: 930-938.より                 2017年7月28日(金) 


ダイエット飲料は安全か?

最近、"Stroke"に、人工甘味料入り飲料を1日に1本以上飲むと、週に1本未満の場合と比べ、虚血性脳梗塞を含めた脳卒中とアルツハイマー病を含めた認知症を発症するリスクが高まることが報告され話題となっている

今回の10年間の観察研究では、集団の3%に脳卒中を5%に認知症の発症を認めた。砂糖を含んだ飲料ではリスクの増加は認められず、人工甘味料を用いた飲料でのみリスクの増加が認められた。過去の研究でも、ダイエット飲料は、男性でも女性でも脳卒中のリスクを高めることが報告されている。一方、脳卒中単独のリスク増加は認められなかったが、他の複合血管イベントのリスクを増加させるとの報告もある。

本論文では、人工甘味料入り飲料を常飲している糖尿病者では、認知症がより多かったと述べられている。しかし、糖尿病において人工甘味料入り飲料が認知症の発症リスクを高めるのか、あるいは、糖尿病者が人工甘味料入り飲料を常飲しやすいのか明らかでない。一方、マウスにおいて人工甘味料が腸内微生物叢を変化させることで糖尿病の発症リスクを高めるとの報告もあるが、現時点では明らかな関連を人では認めていない。

さらに、砂糖を含んだ飲料は脳卒中や認知症の発症リスクを増加させなかったことから、急激な血糖上昇がそれら疾患の発症リスクを必ずしも高めるわけではないことを意味している。

なお、高血圧を有している集団では、人工甘味料入り飲料による脳卒中発症リスク上昇が認められなかった。したがって、高血圧をしっかり管理することの重要性に変わりはない。一方で、人工甘味料入り飲料が高血圧発症を高めるとの報告があるが、これも、高血圧発症リスクを有する人がダイエット飲料を好むのかどうかは、糖尿病と同様に結論に至っていない。

 

いずれにせよ、本研究は、砂糖を多く含んだ飲料を常飲することに健康上の問題がないことを証明したわけでもない。生活習慣病の発症予防や病気の進展予防には、飲料だけでなく食事も含め健康的な摂取を心がけるに越したことはない。

                                                                                                                                                                                                                            2017年5月12日